柴犬~相澤くんの物語り
 私の名前は高宮トオル。

 アフガン・ハウンド犬の雄である。



生後間もなくこの高宮家にやって来た。
なんでも私の主人にあたるこの家の奥方が優雅で神秘的、威厳に満ち溢れたアフガン・ハウンドに憧れ一緒に住む事が長年の夢だったそうだ。

奥方は、フレームにダイヤをちりばめた眼鏡をかけ、いつもブランドもののスーツやドレスに身を包んでおられる。
ちょっと神経質なところもあるが、根は気のいいご婦人だ。
旦那様は、海外出張が多く、あまりご自宅には戻られない。
それで必然的に私の世話は奥方の役目になる。
毎日、私にブラッシング、シャンプーリンス、トリートメントを施し、週一回専属のトリマーを手配する


 体高69㎝、体重27㎏、2才。


 自分で言うのもなんだが、鼻筋の通った端正な顔立ちと素晴らしい毛並みは私の自慢だ。
頭部、耳、背中にかけてはシルバーグレーの、顔から腹部、両手足にかけては雪のように輝くシルバーホワイトの長く美しい毛質……
その評価は家中至る所に飾ってあるコンテストの優勝トロフィーを見て頂ければ一目瞭然である。

     
 
< 5 / 84 >

この作品をシェア

pagetop