アリストの3姉妹

4.小さな女王

ザムザ王の遺影は語り出した。

『まずは聞いて頂こう。
ついにわが国にも襲ってきた魔女狩りの波により、黒魔女アビエータを火あぶりの刑にする事になってしまった。かれこれ一千年前の話だ。
隣国タリホー王国の平和も、魔女の死により平和を取り戻したというが、魔女狩りの種火を放ったのは、わが国の魔女アビエータの仕業だった。しかし一千年の後、魔女の存在がこの世に蘇ると黒魔女アビエータは予言していた。

タリホー王・ルーデル3世が娘達を生き埋めにするという残酷な手段で生きながらえさせた一部始終の過去と、幼き王の手により生き埋めにされた魔女たちが掘り起こされる未来をアビエータは見て知っていたのだ。アビエータは夢見の魔力を得意としていたからな。
夢を操り現実の世界に同一させる魔力、夢現同一化の力を持っておって、私の権力を絶対的なものとする為の要素にもなっていた。

後に私は魔女アビエータの魔術により生まれ変わってこの世に現れ、そして黒魔女アビエータを妻とし、私たちの間に子供が生まれたが、魔女を持つ勢力の強い他の国を崩壊させようとして、再び魔女狩りの種火を放ったアビエータに、その後、墓穴を踏んだように我が国にまで魔女狩りが跳ね返ってきて、我が手でアビエータを処刑する羽目になった。

言ってしまえばアビエータの自業自得の結末だ。

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