不倫のルール
「安井さんから聞いて、心配になって……」

眉尻を下げた美冬の顔が、想像できる。

美冬も玲子さんも、何も言わず私の事を見守っていてくれたのに……何も変えられないうちに、柴田さんの転勤が決まった……

……やっぱり、こうなるんだ……

このままでいいから……そんな私の願いは、今回も叶わなかった──

気にはなっていたが、引っ越しを手伝う立場でもないしな……そんな事を思っている間に、四月初め、柴田さんが引っ越していった。

最初は、朝と夜、一日二回のメール。が、すぐに一回になり、一月も経たないうちに、週に一回も微妙になった。

「柴田さん、本当に大変みたい。会社の上の方がかなり期待してて、プレッシャーがすごいんだって!」

美冬からそんな話を聞けば、心配になる。でも、私なんかがへたに連絡をして、柴田さんの貴重な時間を、奪ってしまいたくなかった。

柴田さんが引っ越してから、美冬と玲子さんからの誘いがぐんと増えた。

「繭子、『結婚』を意識しなさい!」と、たびたび玲子さんの自宅に招かれるようになった。

玲子さんのダンナ様とも仲良くなって、『夫婦』てすてきだなあと、素直に思った。

美冬は美冬で「来ちゃった(ハート)」のような、アポなし訪問が増えた。

二人で夕食を食べ、なんとなくおしゃべりをして、遅くならないうちに帰っていく。

私が寂しく思わないように、二人が気遣ってくれている。心配ばかりかけて、ごめんなさい。

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