不倫のルール
そんな事を悶々と考えてしまい、熟睡できないまま、黒崎さんと会う当日の朝を迎えた。

美冬と玲子さんには、黒崎さんと会う事をメールする。

美冬からは朝一で心配の電話があって、なんとか自分の気持ちを話した。

会社についたら、早速玲子さんが私のいる経理課に顔を出した。今日は使う予定のない会議室に移動する。玲子さんは私の肩に、優しく手を置いた。

「繭子、顔色悪いよ。大丈夫?」

「ちょっと寝不足なだけ。大丈夫!」

無理に笑顔を作って言った。玲子さんにも、自分の気持ちを話した。

「身体も心も、無理だけはしないで!」

玲子さんは、ずっと眉間にシワを寄せたままだったが、別れる間際にそう言ってくれた。

緊張と寝不足のせいか食欲もなく、朝は牛乳を飲んだだけ。お昼も、紙パックの野菜ジュースだけだ。

ボーッとしそうになりながらも、なんとか一日の仕事を終えて、定時に会社を出た。

帰りにスーパーに寄ったが、欲しい物を思いつかず、結局何も買わなかった。

黒崎さんが来るのは、たぶん八時過ぎ。まだ、一時間以上ある……

家に帰っても、何も食べる気になれない。……気分転換に、お風呂に入ろう!

手早く髪を洗い、身体も洗う。

ぬるめの湯船に浸かると、肩の力が抜けていく。心だけでなく、身体も強ばっていたのだと気付く。

「フゥ~……」大きく息を吐く。大丈夫、大丈夫……自分に言い聞かせる。

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