不倫のルール
黒崎さんは、少しの間カレンダーを見た後、フッと笑って言った。

「いいよ、その日に来るよ。……その日は、繭子の二十六回目の誕生日だ」



**********


三年間……まるまるではないけど、この家で、ひたすら黒崎さんの事を待ち続けた。大好きだった!……たとえ黒崎さんに、愛されていなくても……

最後に……黒崎さんとの『思い出』が欲しいと思ってしまった。三年間、黒崎さんを想い続けた事はムダではなかった!……そう思いたかっただけなのに……

その結果が、これだ……

……でも、本当にこれが、私の望んでいたもの?

……私が、求めていたもの?……違う……違う、違う、違う!!私が、本当に求めているものは……!

テーブルに置いていたスマホを取り、操作する。

「柴田さん……」その人の名前を見て、その人の顔を思い出す。

思い浮かぶのは……ふと目が合うと、いつも優しく微笑んで、私の事を見ていてくれる……そんな、柴田さんの笑顔だ。

会いたい!柴田さんに、会いたいよ!!

私は震える指で、スマホをタップした。

二~三度コールした後、柴田さんの低く優しい声が耳に響いた。

「繭ちゃん?珍しいね、こんな時間にかけてくるなんて。どうかした?」

柴田さんの声を聞いて、溢れそうになる涙を必死に堪える。

「柴田さん。私、明日誕生日なんです。二十六回目の……でも、このままじゃ、また一人で誕生日を迎えて、一人だけで過ごすんです」

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