不倫のルール
「繭ちゃん!?」柴田さんの声が焦っている。構わずに、さらにギュッ!と力を入れた。

柴田さんから汗の匂いがした。でも、全然イヤだと思わない。慌てて来てくれたのかも……と思ったら、胸がキュッ!とした。

美冬、柴田さんの顔を見て、わかった事があるよ。柴田さんが私の事を『愛してくれるオトコ』かどうかは、わからない。

ただ……私にとって柴田さんは『愛したいオトコ』なんだ……

怖いけど……柴田さんがいつか、私から離れていってしまう時がくるかもしれないと思うと、すごく怖いけど……

でも、やっぱり……私は柴田さんを、愛したい……!

「ごめんなさい!柴田さんの都合も考えずに『今日中に会いたい!』なんてわがままを言いました。でも……柴田さん、私の事、嫌いにならないでください!」

柴田さんが、どんな表情をしているのか……見るのは、やっぱり怖くて。ギュッ!と目をつぶったまま、柴田さんの首にしがみついて言った。

「ごめんなさい!ごめんなさい……」

そんな言葉を繰り返して言う。

「繭ちゃん、しがみついてくれるのは嬉しいけど……ちょっと、マジで苦しいから!」

背中をトントンと叩かれながら言われ、慌てて柴田さんから離れた。

「ごめんなさい!」柴田さんを見つめると、眉尻を下げて笑っていた。

右手で、私の両頬を順に撫でる。いつの間にか、私は涙を流していた。

「繭ちゃん、俺、わかった事がある」

「?」私は小首を傾げた。

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