不倫のルール
「仕方ないだろ……『坊主にしたら許してあげる』て、秀子さんがバリカンを持ってきたんだから!」

自棄気味にそう言って、ゲンさんはプイッと横を向いた。

その言葉と姿に、私はクスッ……と笑ってしまった。

ゲンさんも秀子さんも、いい大人なのに。そんな子どもじみた罰を与えながらも、許し許されて、傍にいたいという事なのか……

「いいじゃないですか。似合ってますよ」

多分、最初に刈られた時よりも多少は髪の毛も伸びたんだろう。

それでも短い髪の毛は、きれいに金色に染められている。

ゲンさんの容姿もあって、人気のダンスボーカルグループのメンバーにいそうな感じだ。

「繭ちゃんの事は、秀子さんにバレてないから……安心して」

フッ……と笑いながらゲンさんが言った。

やっぱりゲンさんは、私が全部知ってると思っているのか……

平気で“不倫”できるような、女に見えましたか?

「新庄さんの好みのタイプって、グラマラスでセクシーな、大人の女性だそうですね。どうして、私を誘ったんですか?」

ゲンさんの顔を見ていたら、何となく訊きたくなった。

「う~ん、そうだな……やっぱり“目”かな……」

遠くを見ながらゲンさんが言った。

「目?」思わず、小首を傾げてしまう。

「子どもの時、とても大切にしていたビー玉があって。こう、太陽にかざすとキラキラ光ってすごくきれいだった」

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