不倫のルール
「スタッフは厨房からホールまで、全部イケメンを揃えて、まず女子の視線をガッチリ掴む。ゲンさんは調理を担当して、女子の胃袋を掴むんだって!」

スタッフが男ばかりだから、秀子さんの心配も軽減されているとの事で。

何より、カフェの準備を始めてからゲンさんが、女の子に見向きもしなくなったそうで……

「元々、おいしい料理を作って、食べた人の喜ぶ顔が見たい!て、このカフェで働き始めたんだから。よかったよ、本来の自分を思い出して」

しみじみと祥子さんが言った。

「祥子さん、新庄さんの保護者みたいですね?」

「出来の悪い子ほど、可愛いって言うもんね!」

二人で顔を見合わせて笑った。

よかった……私の伝えたかった事、ちゃんとゲンさんに伝わってた……

私はこの恋を、後悔しなくていい──

そんな風に思えた。
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