不倫のルール
『二度ある事は三度ある』ではなくて『三度目の正直』となりますように……

何度か来た事がある洋風居酒屋に辿り着いた。

「痛っ!……」美冬の踵を見たら、靴擦れができていた。

新しいサンダルでウロウロしたのが、よくなかったようだ。

「私、バン○エイド持ってるから、お店に入ったら貼ろう」

「うん、ありがと」

そんな会話をして、お店の扉を開けた。

「いらっしゃいませ!」

入った所で、店員さんに迎えられた。

「二人ですけど、空いてますか?」

どこか祈るような気持ちで、店員さんに訊ねた。

「少々お待ちください」

レジカウンターにある、座席の画面を確認しているようだ。

「申し訳ございません。先程、カウンター席も埋まってしまいまして。後は予約席となりますので、一杯でございます」

私達の前に来た店員さんは、そう眉尻を下げながら言った。

ガクッ!と美冬の肩が落ちたのが、隣の私にもわかった。

あの靴擦れ、痛そうだったよな……

「しばらく待てば、空きませんか?」

美冬の様子に、もう一度店員さんに訊ねる。

「お待ちください」

小さく頭を下げ、店員さんは再びレジカウンターに戻った。

「里中君?」

< 53 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop