不倫のルール
……それもそうか……

訳がわからなくて、眉間にシワを寄せたまま、柴田さんを見つめた。

そんな私の様子に、苦笑いを浮かべた柴田さん。

「瀬名ちゃんとは、“酒好き”っていう共通点もあるし、話してても、おもしろい。飲む以外の事をしても、きっと……」

「私、柴田さんの事は『飲み仲間』だと思ってました」

柴田さんの言葉に、被せ気味に言った。なんだかわからないけど、柴田さんの言葉を、あまり聞いてはいけない気がした。

冷房の効いた店内から出たら、八月の夜の空気は、まだまだ蒸し暑くて。

さっきお手洗いで確認した時は、全然平気だったのに、急にお酒が回ってきたように感じる。

身体が、どんどん火照ってくるようで……

熱くなった頬に手を当てながら、そっと柴田さんを見た。

「瀬名ちゃんが俺の事、男として見ていないのはわかってた。だから、今日…今これから、俺を一人の男……」

「ごめんなさい!!」

またもや柴田さんの言葉に被せて言って、頭を下げた。

「私、今誰かとお付き合いするとか、全然考えられなくて……柴田さんは、すごくすてきな方だと思います!だから、私なんかじゃなくて、もっとお似合いの方がいると思います!」

柴田さんの顔は見られない……目を伏せて一気に言うと、ベンチを立った。

「柴田さん、戻りましょう!……ここで話した事は、聞かなかった事にします」

< 62 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop