不倫のルール
「安井さんが『柴田さんの様子がおかしい。原因は、私じゃないか……』というような事を、美冬に言ったそうです」

柴田さんは、無表情に私を見ている。私は、急に恥ずかしくなって慌てて言葉を続けた。

「私は関係ないって、美冬には言ったんですよ!でも、強引に……」

「瀬名ちゃん」

「……はい……」

柴田さんの呼びかけが、いつもより低く響く。

「自分で思っていたよりも、ずっと、俺は君に惚れてたみたいだ」

思いがけない言葉に、私は息を呑んだ。

「先週、君に断られた時、まっ、仕方ないか~って思った。男として見られてないのは、わかっていたし」

フッ……と笑って、柴田さんは続けた。

「でも本当は、かなりショックを受けてたんだ。きちんと告白して、俺の事を意識さえしてもらえば付き合える。断られるなんて、夢にも思っていなかった……」

「柴田さん……」

自嘲気味に笑った柴田さん。柴田さんは、全然問題ないんです。むしろ私には、もったいないくらいの告白でした。

「なんで断られたんだろ?ていうか、これまで通り、瀬名ちゃんを飲みに誘っていいのか?もう、あんまり会わない方がいいのか?……なんて考えてたら、どんどん落ち込んで……いい大人が、情けないよな」

「柴田さん、ごめんなさい。私の話、少し聞いてもらえますか?」

柴田さんが頷いたので、アイスレモンティーを少し啜ってから、口を開いた。

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