不倫のルール
短大生の時、ゲンさんと付き合った事を話した。知らなかったとはいえ、それが結果的に『不倫』だった事も……

黒崎さんの事は、言いたくない……柴田さんに、軽蔑されたくないから。

私は、ズルい女だ。

「瀬名ちゃんは、まだその人の事、好きなの?だから、次の恋ができない?」

私は、しっかりと首を横に振った。

「“過去の人”だと思ってます。でも……誰かの事を本気で好きになるのは、怖いです」

本当にそう思っていた。黒崎さんの事を、好きだと気付かされるまでは……

「う~ん!……」

いつもは整えられている、柴田さんの長めの前髪。今日はお休みのせいかそのままで。それをかき上げながら、柴田さんが唸った。

いつもより少し幼く見える柴田さんに、少しドキッ!としてしまった。

「自分から告白したの、初めてだったんだよ。……なのに、フラれたうえに、聞かなかった事にされて……俺もトラウマになりそうだ」

「っ!ごめんなさい!柴田さん!」

「 ……じゃあ、俺と付き合う?」

「それは……」

眉尻を下げて柴田さんを見た。「柴田さんには、もっと相応しい人がいます」という言葉は、とりあえず呑み込んだ。

「瀬名ちゃんが、過去に囚われているせいで、俺と付き合えないと言われても、納得できない。すぐに次にはいけない。瀬名ちゃんなら、俺の気持ちわかるよね?」

私は、大きく頷いた。“想い”は、理性だけでは抑えられない……

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