不倫のルール
柴田さんのスマホには、近くのショッピングモールの中にある映画館のサイトが開かれていた。

……今、決めるの?柴田さんを見れば、ニッコリときれいな笑顔を向けられた。

溜め息を一つついて、スマホを見る。

「あっ……」思わず小さく声を漏らしてしまった。

私が好きなマンガ原作の映画があった。高校生のピュアなラブストーリーで、自分の年も顧みず、そのマンガを読んでは、いつもキュンキュンさせられている。

前評判もいいし、出ている俳優さんもイメージ通りで、ちょっと気になっていた。

でも……きっと男の人は、こんな青春ラブストーリーより、こっちのアクション大作の方がいいよね……

そう思って、そのアクション大作のタイトルを言いかけた時、柴田さんが口を開いた。

「女ってさ、こういう時ラブストーリーとか観たがるよな。男の方の気持ちも、考えろっつうの!ああ、ヤダヤダ!デートでラブストーリーを観たがる女!」

こっ、これは……「ラブストーリーを観たい!」と言った方が、わがままになるの?

「柴田さん、私、これがいいです!」

青春ラブストーリーの映画を指す。

「うげっ!最悪!」そう言って柴田さんは、スマホを操作する。

「最悪!」と言いながら、柴田さんの口元が綻んで見えるのは、私の気のせい?

「十三時十五分開始のでいい?」

私が頷くと、またもやスマホを操作する。

「座席、予約しておいた」

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