不倫のルール
今さらながら、その事に動揺する。

考えても、何をどうすればいいのかわからない……とりあえず、考える事を放棄してみるが……

それは、簡単な事ではなかった。

日曜日の午前中は、家の掃除に集中する事でごまかした。

早めに昼食をとり準備が調った時、まだ十二時半にもなっていない。うちから映画館まで、車で十分もかからない。

玄関先で、足踏みをするような気持ちで時間を潰し、十三時二十分前に家を出た。

ショッピングモールで少し駐車場を探し、映画館に到着したのが、十三時五分前。

ここまでくるのに、やっぱりグッタリしてしまった。

映画館のロビーに入ると、正面に柴田さんが立っていた。

Tシャツにジーンズという、何の変哲もない格好なのに、立っているだけで、人目をひく。

周りの女の子達がチラチラと見ている事、気付いているのかな……?

素材がいいと、違うな……そんな事をボンヤリ考えていたら、柴田さんに名前を呼ばれてしまった。

「繭ちゃん!」

なっ、なぜ名前?ていうか、そんな風に呼ばれたらますます目立って、余計近付きづらいじゃん!

俯きながら、小走りで柴田さんに近付く。

「なんで名前を呼んでるんですか!?」

抑えた声だが、強めに言う。

「ん?気分が出るように」

「なんの気分ですかっ!?」

「……俺に名前呼ばれるの、イヤ?」

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