不倫のルール
な~んて思っていたのは、この辺りまで。映画が始まってしまえば、私はすぐに、映画の世界に入り込んでしまった。

映画の中の高校生達と一緒に、笑って、泣いて、悩んで……と忙しい。

私は普段、感情を抑えるのに慣れてしまっている。小説や映画の世界に入りこんで、素直に感情を表すのは、私にとって貴重な事かも……なんて、改めて思った。

そして隣では……キャラメルポップコーンに手を伸ばし、ポリポリと食べている柴田さんがいる。

ポップコーンに伸ばした手が時折止まるのは、映画をかなり夢中になって観ているのだろう。

映画館を出て、ショッピングモールの中をブラブラと歩く。

「うん。まあ、悪くなかった……ていうか、結構おもしろかった」

柴田さんが、隣の私をチラッと見下ろして言った。

「ですね。よかったです」

ニッコリと笑って返した。

「でも、あいつ、なんであそこで引くかな!」

ヒロインの女の子が好きな男の子が、自分の友達と、その女の子が両思いだと勘違いして、一度身を引いた。よくある“すれ違い”てやつだ。

「だって、両思いだと勘違いしてたんだから、仕方ないじゃないですか」

「自分が、本当に想っている女を手に入れるのに、遠慮している場合か!」

「相手の気持ちは、自分にないんですよ。その子が想っている人と結ばれる方が、その子にとって幸せじゃないですか?」

< 75 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop