不倫のルール
「本気で惚れた相手なら、“誰か”に幸せにしてもらうんじゃなくて、自分で絶対に幸せにする。それぐらいの想いがないんなら、へたに近付いて、優しくなんかしない方がいい」

柴田さんの目差しは、真っ直ぐだ。

「誰と一緒にいたら本当に幸せになれるか、なんて……そんなのやってみなきゃわからない。やる前から諦めてちゃ、好きになった意味がない」

柴田さんの言葉は、私の胸の真ん中にズーンと響いた。右手でそっと胸を押さえ、柴田さんを見上げながら笑った。

「柴田さんに想われたら、大変そう……でも、そこまで想われる女の子は、幸せですね!」

柴田さんが俯いて、微かに微笑んだ。

「……それを、繭ちゃんが言うんだ……」

柴田さんの呟きは小さすぎて、私の耳には届かなかった。

「はい?」小首を傾げた私に、柴田さんは苦笑しながら言った。

「エラそうにいったけど、やった事がある訳じゃないから……実際にどこまでできるかは、俺にもわからない」

「柴田さんは、やる男だと思います!」

思わず、右手を握って力強く言った。

「繭ちゃんは、そう思うんだ?」

「はい!」大きく頷いた。

「じゃあ、繭ちゃんの期待に応えなきゃ」

柴田さんが、クスクス笑いながら言う。その事を不思議に思いながらも「はい!」と、さらに大きく頷いた。

柴田さんがなぜ笑っていたのか、私はわかっていなかった。

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