不倫のルール
そもそも、どうして柴田さんと二人だけで会っているのか……そんな事さえ、その時の私からは抜け落ちていた……

それからも、ショッピングモールの中をブラブラした。

お気に入りの雑貨屋さんとか、気になったサンダルやスカートとか……後、本屋さんも。

一瞬立ち止まり、慌てて歩き出そうとした私に柴田さんは言った。

「女って、買わないのにいろんなお店を見て回るよね。それって、楽しいの?」

「……とっても、楽しいです!」

私は、お気に入りの雑貨屋さんに飛び込んだ。

柴田さんの言葉は意地悪だけど、ずっと優しく笑っていて。

気が付けば、自分のペースでお店を覗いていた。

ショッピングモールの中をたっぷりウロウロして、早めの夕食をとる事にした。

フードコートに移動して、お店を見渡す。

「私、うどんにします」

聞かれる前に柴田さんに言っていた。

「俺もうどんにする」二人で、セルフ式のうどん屋さんに並んだ。

出会ってすぐにも、感じていた事だけど……

柴田さんと一緒にいても、私は変な気を遣わずにいられる。

周りに合わせる事が多い私だけど、柴田さんは、私の望みをさりげなく、時に強引に引き出してくれる。でも、それは全然イヤじゃない。

柴田さんの隣は、楽に呼吸ができる──そんな風に感じた。

その日は夕食をとったら、ショッピングモールで別れた。

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