不倫のルール
なんとなく辺りを見渡す。カップル、家族連れ、友達同士のグループ……お弁当を食べたりしながら、それぞれがのんびり寛いでいる。

空を見上げる。きれいな青い空。顔に日差しを受けながら、今さらながら帽子を被ってくればよかったなあと思う。

お肌のハリとか、いろいろ気になるお年頃だもん。忘れ物がないか、何度も確認したのにな……一人で苦笑する。

スーッと秋の風が吹いた。自分が着ていたグレーのパーカーを脱ぎ、そうっと、柴田さんにかけた。

……よかった。特に目を覚ました様子はない。

そうだ!来る時に見られちゃったし……まっ、私が勝手に寝ちゃったんだけど。

半分仕返しのつもりで、柴田さんの寝顔を観察する。当然だが、柴田さんの寝顔を見るのは初めてだ。

目を閉じていても、きれいな顔。当たり前か。睫毛、長っ!マスカラつけてるわけじゃないのに。鼻もスッと高くて……うらやましい。薄めの形のいい唇。何を基準に『形がいい』と判断しているのかわからないけど、ともかくそう思ってしまうのだ。

シミや、ほくろでさえ見つけられないきれいな肌。柴田さん、アラサーですよね?

それぞれのパーツが、あるべき所に、きちんとおさまっている──そんな感じ。

今日は、セットしてなかったから……長めの前髪が瞼にかかっている。人差し指で、そ~っと前髪をよける。

柴田さんが目覚める様子はない。

「よく寝てる……」小さく呟いた。

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