不倫のルール
「繭ちゃんからのごほうび、いただきました!」

そう言って、悪戯っぽく笑った柴田さん。カァーッ!と顔に熱が集まった。

「おっ、おやすみなさいっ!」

それだけをなんとか絞り出して、リュックを持って柴田さんの車から降りた。

なっ、なんなの!?なんなの、なんなのーっ!?

自分が昼間やらかした事を棚に上げて、私は最上級に動揺していた。



柴田さんとは、二人だけで会わない方がいい──

自分の心の揺れをはっきりと自覚して、そう思うのに、結局毎週末のように会っている。

柴田さんとの穏やかで心地いい時間を、私は手放せないでいた。

そして、あの日以降、別れの儀式のようになってしまった。柴田さんのおでこへのキスが……

一応抗議はしているが、柴田さんは笑っているだけなので、もう諦めている。

美冬や小出さん達との飲み会も、何事もなかったように続いている。

ただ、私と柴田さんが二人だけで会っているのは、ナイショにしている。

説明が面倒だから?……それだけの事だ。



十一月も半ばを過ぎた頃──

久々に玲子さんから「飲みに行こう!」と誘われる。ダンナさんも、飲み会だそうだ。

「行く、行く!」と二つ返事でOKする。柴田さんには後でメールをしておこう……と、頭の中で考える。

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