不倫のルール
しみじみと言った玲子さんに、私は慌てた。

「私も、混乱してるの……」

そう正直に告げてから、美冬に言われて、柴田さんと会った時の事から、毎週末のように会っている事を話した。

玲子さんは少し呆れたような顔をして、美冬は眉間に深くシワを寄せた。

「……で、繭子と柴田さんは、付き合ってないんだね?」

玲子さんに念を押され「はい!」としっかり頷いた。玲子さんはまたもや、大きな溜め息をついた。

「もう~!いいじゃん、柴田さんと付き合えばっ!」

「でも、私には黒崎さんが……」

「不倫エロオヤジの事はいいからっ!」

美冬の容赦ない言葉に黙ってしまった。

「……どんなヤツでも、繭子にとっては大好きな人なんだろうけど……“愛しているオトコ”よりも“愛してくれるオトコ”と付き合ってみても、いいんじゃないかな」

眉間のシワを緩め、美冬は言い聞かせるように私に言った。

“愛してくれるオトコ”か……柴田さんが言った事は、本心なのだろうか?

玲子さんが、静かに口を開いた。

「結婚してみて余計思うんだけど……愛って、やっぱり育んでいくものだと思う。あんたと黒崎所長の間に、育っているものはある?」

“育っているもの”……私は、黒崎さんと一緒にいる時間を止めたいと思っていた。ずっと一緒にいたかったから……

……なんで、過去形なんだろう……?

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