初恋フォルティッシモ

「あ、藤本!?」

「…?」



ふいにどこからか、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

…この声は…?

会社の同僚の声だとわかったと同時に、ふと視界に入る二つの陰。

目を凝らしてよく見てみると、そこにはなんとその同僚である森くんと……


三島くんがいた。



「!」



…み、三島くんっ!?



「え、ど…どうしたの」



そこに突然森くんがいる、というよりも、三島くんの存在にびっくりしてしまうあたし。

だって三島くんは何故だか支えられているし。

え、もしかして酔っぱらい?いつの間に?

そう思ってびっくりしていたら、森くんが「助かった」と言わんばかりにあたしに近づいてきた。

支えられてうつ向いている三島くんを連れて。



「いやさ、さっき居酒屋行ったらコイツ酔っちゃってさ、ベロンベロンなわけ」

「エ、」

「お前三島と仲良いじゃん。コイツのマンションどこだか知らない?っつか藤本今すぐコイツ保護して。俺これから用事あるし」



いきなりそう言われて、あたしがうかうか
しているうちに「ほらよ」と三島くんを渡される。

「お前どーせ暇だろ?」なんて。

うわ、重いっ……!

じゃなくて、あたしだって三島くんのマンション詳しく知らないってば!
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