初恋フォルティッシモ
「……んー…じゃあ、また今度でいいや。その話は」
「?」
「ところでほんと、三島くんのマンションどこなのー」
あたしはそう言って、どこに進めばいいかわからない道を、ゆっくり歩く。
その後ろからついてくる三島くん。
「……」
声が聞こえてこない、から。
教えてくれる気はないみたい。
そしたら、ふいに三島くんが言った。
「先輩、もー俺歩くのメンドクサイ」
「えー、頑張ってよ」
「無理。先輩あそこ泊まればいいじゃん」
「?」
そう言って、三島くんがどこかを指差す。
どこを差しているのか、それを辿って見えたものは…
「…ホ、テル…?」
見覚えのある、立派なホテル。
…あー、そのテがあったか。
あたしは三島くんの言葉の意味をよく理解しないで、なるほど、なんて頷いてしまった。
「あ、そっか。それいいね」
「!」
「じゃー三島くん、バイバイ。また明日…」
しかし…