初恋フォルティッシモ

「なーに言ってんすか先輩」

「え、」

「先輩も一緒に泊まるんでしょ」

「………え?」



ふいに聞こえてきた、その発言。

びっくりして固まって三島くんを見るけど、三島くんは至って普通。

いや、酔っぱらってるんだけど。

…じゃなくて!


ええっ!?



「な、なななな何言ってんの!?正気なの!?三島くん!」

「…」

「だからさ、若い男女が二人きりでホテルに泊まるっていう行為がね、どういう意味かあたしにもわかって…」



わかってるんだよ。

だから、ダメだよ。


必死にそう言おうとしたら、その言葉を三島くんに遮られる。



「渡辺部長はオッケーなのに?」

「…え?」

「…」



…今、何て…。

ふいに耳に飛び込んできた、その名前。

ずっと秘密にしてた関係の人。

三島くんが、その人の名前を突然口にした。

何故か。


何で、三島くんがそのことを知ってるの…。


あたしがびっくりして固まっていたら、三島くんが言葉を続ける。



「…先輩って」

「…」

「渡辺部長と、不倫…してますよね?」

「!?」
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