初恋フォルティッシモ

「なんっ…先輩!?」

「うん?」



目の前の麻妃先輩を認識した瞬間、俺はびっくりして思わず飛び起きる。

…俺は何でここに麻妃先輩と二人きりでいるのか。

考えてもわからなくて。


夕べは食事に行ったあと駅で別れたはずだし。

あのあとは会社の人たちに居酒屋に呼ばれて、確か、日本酒を……



「…どうしたの?三島くん」

「…」



………マズイ。その後の記憶が、無い。

でも、麻妃先輩にこのまま聞いてもいいのか。

いや、そもそも何でホテルに二人きりで…?


聞いちゃうと、「え、覚えてないの?」ってなるのも嫌だし。

だから必死で思い出そうとするけれど……無理に近い。


っつか、俺が一番知りたいのは…



「…頭いてぇ」

「え、大丈夫?凄かったもんねぇ昨日は」



麻妃先輩と、そういう関係になったかなっていないか。

っつか、凄かったって何だよ。

ああ知りたいことがまた増えた。
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