初恋フォルティッシモ

だけど、そう思って頭を抱えていたら、そんな俺に麻妃先輩が問いかけてきた。



「…ねぇ、三島くん」

「…はい?」

「昨日のこと、覚えてる?」

「!」



そう言って、俺の顔を覗き込んでくる。

…凄く不安そうな顔。

覚えてないって言ったらどんな展開になるだろうか。

考えたくないくらい怖い。


だから俺は、ちょっと迷った末に言った。



「……覚えてますよ、もちろん」



そう言って、麻妃先輩を見る。

だけどすぐに逸らした。

見破られそうで。


しかし、次の瞬間…



「っ…んははっ」

「…?」

「ね、ほんとは覚えてないでしょ!」

「えっ」



何故か、あっさりそう言われて見破られた。

そして可笑しそうに笑ってる麻妃先輩。

いや、ちょっと待って。俺さっきからわからないことだらけなんすけど。

そんなに俺ってわかりやすいか!?



「いや、覚えてますって!」

「ほんと?覚えてないって顔してるよー」

「まさか。いやちゃんと覚えてます!」
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