スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
事務所から遠く離れたビジネスホテルに到着すると、春木さんは私をロビーで待たせフロントに向かった。

指定の部屋に入室してすぐ、カードキーを手渡される。


「俺の名前でチェックインしてあるから。」


いかにもビジネスホテルらしい、テレビとベッドのみの殺風景な部屋だ。
時刻はとっくに午前5時をまわっていたが、窓の外はまだ真っ暗だった。


「すみません。夜には家に戻って、アメリカ行きの準備します」


撮影旅行は明日に迫っていた。
連日のゴタゴタでまだ準備に手を付けられていないが、急いで準備すれば明朝の出発に何とか間に合うだろう。


「……いや、」


春木さんの声に顔を上げる。



「お前は日本に残れ。」
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