スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
6日ぶりに外に出ると、太陽の光が目に突き刺さってきた。


景色は更に春めいていた。

甘い花の香りが鼻腔をくすぐる。
街を漂う空気にまで優しい色が付いている気がした。


玄関を出る前に自室のポストをチェックすると、案の定写真で溢れかえっていた。

もうこれ以上余裕がないほど、入口までびっしりと詰め込まれている。
やっぱり毎日入れられていたのかもしれない。


私が外出を控えたせいか、カーテンが閉まった私の部屋の窓を外から撮影した写真ばかりだった。

構図は同じだけれど、周囲の明るさが違う。


朝も、昼も、夜も。
私が外出しないか見張られていたようだ。



トートバッグの中に用意したゴミ袋へ次々と捨てて玄関を出た。
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