トンネルを抜けるまで
5
真っ白な明りが眩しい。薄眼を開けると、たくさんの真っ白な明りが、次々と私を襲った。
「アイぽんが目を開けたぞー!!」
一人の記者が言った。記者? は、コレはフラッシュか!! 職業柄か、急いで目を見開いて立ち上がった。
「おおー!」
フラッシュが一層強くなる。うーん、長いこと暗闇にいたからつい目つぶっちゃうなぁ。……ってソレどころじゃない!!
あ、あの! 一緒にいた男の人は!?
「先程連行されましたよ。凶悪犯に狙われてさぞお辛いと思いますが、心境を今一度」
――バカっ!!!
「え?」
皆様、何か勘違いしていらっしゃる様ですが、彼は私を助けてくれたんです!
「と言いますと」
私はたまにあの小屋で稽古してて、その時偶然ぶつかって……ってそんなことどうでも良いの! とにかく、火事が起きて死にそうだった時、彼が助けてくれたんです!!
敷き詰められた記者達を強引に退かし、駆け付けてくれていたマネージャーを呼ぶと、マネージャーの車に乗せてもらって警察署へと急いだ。火事の言いワケなんてとりあえず後だ。彼を何とかしなくっちゃ。
ああ、今まで嫌われるのが嫌で必死に架空の私を演じてきた。それなのに、今までの私の一生の努力を一瞬で踏みにじったあの人、本当に酷い人だ。私を強気で自然体にしてしまう厄介なヤツ。連れてこない方が良かったかな。……いいや。
警察署に着き、入口へと行く。すると、警察に先導されるあの人の姿があった。
おじ様!! 私の声に、皆が振り返った。
「……楠田さん、すみません。色々とご迷惑をかけて」
彼と刑事の間に割って入り、違うんです! この人は私を助けれくれたんです!! と声を張り上げる。
「その様ですね」
……うん? その様なの? おじ様の方を見る。おじ様は申し訳なさそうに苦笑い気味に頷いた。
「小屋の中から、この方がアイさんを抱えて出てきたと消防士の方から事情を聞きました」
でも、記者の方は凶悪犯連行って……。
「それは変だなぁ。まぁ、通行人が何か勘違いして言ったのが広がったのではありませんか? 少し見ただけで色々想像して言う人もいますからねぇ。貴方も困ったもんですよねぇ」
刑事さんに投げかけられたものの、おじ様は困った様に微笑むことしか出来なかった。嘘はつけない人らしい。
呆れと安堵から、全身の力が抜けて、その場に座り込んだ。なんなんだよもう。アホらしい。
「ですが丁度良かった。一応事情聴取したいのでお話しを聞こうと思ってたんです。お時間ありますでしょうか?」
あります、ありますとも……。
事情を話し、署ともおサラバした後は、記者と話さなくちゃいけない。うーん、めんどくさいなぁもう。
「先程は失礼な発言、大変申し訳御座いません。ところでお二人の関係は?」
また質問か。もうどうやって言い繕おうかな。
……とも思ったけど、もういいや。素直になる為に、一緒に帰って来たんだもんね。戸惑うおじ様の腕を掴んでバッチリカメラ目線で言った。
「命の恩人で、且つ、私の本音をしっかりと受け止めてくれる。とても、とても大切な……おじ様です!」
「アイぽんが目を開けたぞー!!」
一人の記者が言った。記者? は、コレはフラッシュか!! 職業柄か、急いで目を見開いて立ち上がった。
「おおー!」
フラッシュが一層強くなる。うーん、長いこと暗闇にいたからつい目つぶっちゃうなぁ。……ってソレどころじゃない!!
あ、あの! 一緒にいた男の人は!?
「先程連行されましたよ。凶悪犯に狙われてさぞお辛いと思いますが、心境を今一度」
――バカっ!!!
「え?」
皆様、何か勘違いしていらっしゃる様ですが、彼は私を助けてくれたんです!
「と言いますと」
私はたまにあの小屋で稽古してて、その時偶然ぶつかって……ってそんなことどうでも良いの! とにかく、火事が起きて死にそうだった時、彼が助けてくれたんです!!
敷き詰められた記者達を強引に退かし、駆け付けてくれていたマネージャーを呼ぶと、マネージャーの車に乗せてもらって警察署へと急いだ。火事の言いワケなんてとりあえず後だ。彼を何とかしなくっちゃ。
ああ、今まで嫌われるのが嫌で必死に架空の私を演じてきた。それなのに、今までの私の一生の努力を一瞬で踏みにじったあの人、本当に酷い人だ。私を強気で自然体にしてしまう厄介なヤツ。連れてこない方が良かったかな。……いいや。
警察署に着き、入口へと行く。すると、警察に先導されるあの人の姿があった。
おじ様!! 私の声に、皆が振り返った。
「……楠田さん、すみません。色々とご迷惑をかけて」
彼と刑事の間に割って入り、違うんです! この人は私を助けれくれたんです!! と声を張り上げる。
「その様ですね」
……うん? その様なの? おじ様の方を見る。おじ様は申し訳なさそうに苦笑い気味に頷いた。
「小屋の中から、この方がアイさんを抱えて出てきたと消防士の方から事情を聞きました」
でも、記者の方は凶悪犯連行って……。
「それは変だなぁ。まぁ、通行人が何か勘違いして言ったのが広がったのではありませんか? 少し見ただけで色々想像して言う人もいますからねぇ。貴方も困ったもんですよねぇ」
刑事さんに投げかけられたものの、おじ様は困った様に微笑むことしか出来なかった。嘘はつけない人らしい。
呆れと安堵から、全身の力が抜けて、その場に座り込んだ。なんなんだよもう。アホらしい。
「ですが丁度良かった。一応事情聴取したいのでお話しを聞こうと思ってたんです。お時間ありますでしょうか?」
あります、ありますとも……。
事情を話し、署ともおサラバした後は、記者と話さなくちゃいけない。うーん、めんどくさいなぁもう。
「先程は失礼な発言、大変申し訳御座いません。ところでお二人の関係は?」
また質問か。もうどうやって言い繕おうかな。
……とも思ったけど、もういいや。素直になる為に、一緒に帰って来たんだもんね。戸惑うおじ様の腕を掴んでバッチリカメラ目線で言った。
「命の恩人で、且つ、私の本音をしっかりと受け止めてくれる。とても、とても大切な……おじ様です!」