〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。
陽人も京ちゃんも澤村さんも知ってる。
陽人と京ちゃんが付き合っていた事、澤村さんと京ちゃんが付き合っている事、俺は知っている。
そんな内情を知っている事を陽人と澤村さんは互いに知らない。
京ちゃんとは知ってて知らない振りをしたけど。
澤村さんは俺と陽人が知り合いだとは知らない。陽人も知らない。
何も無い内は聞かれもしない事、言う必要も無いだろう。
陽人を知っているからと言っても澤村さんには関係の無い事。
陽人は毎日仕事浸けだ。
俺が“出勤”する頃にはとうに帰っていたのに、今は部屋に明かりが点いていない事が多い。
あの日からだよな。
チラッと見た。
宅配の預かりボックスの中にあった小さな箱のシルエット。
あれは京ちゃんからのモノだったんだろ?
陽人の部屋のゴミ箱の中。
小さく千切られた送り状の文字。
鍵という文字だけが辛うじて読み取れた。
会わずに返されたのか?
会った時に持って無かったのか?
会える状態じゃなかったのか?
話し合って納得して、合意の上で別れた訳じゃないのか。
一方的な別れなのか。
鍵どころの話じゃ無かったのか。
陽人。あんなに気にしていた京ちゃんと復活したのに。
なぜ終わってしまったんだ。