〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。
「しないだろ。する訳がない」
「だから、それが馬鹿だって言ってるんだ。
大人だぞ。大人の付き合いをしてドキドキしないはずがないだろ?
…何をしても初めてなんだぞ、京ちゃん。
何もかも俺に話させるつもりか?一々言ってやろうか?
初めてする大人のキス。初めて入る男の部屋。
初めてのお泊り。初めて見る大人の男の身体。
好きな人に作るご飯。
…部屋を後にする時の切なさ。
お前の態度や言葉一つで嬉しくもなる。悲しくもなる。
どんなに知っている間柄でも、男と女になったら知らない事ばかりだ。
どこか安心感があるのは信頼だよ。
お互いが信頼しあっているからだよ。だろ?」
「…旅に出したつもりなんだ」
「旅?」
「…さっきも言ったけど、俺のところには戻らないかも知れない。
だけど、それは、京が俺以外を知って経験してその結果の事だ。
京がそれを望んだらそれでいいだろ…。京の人生だ。
元々独りが寂しくて俺のところに来たんだ。俺とはその程度のモノさ」
「きっかけはそうだったかも知れない。
でも、一緒に居て触れ合う度、好きは深くなったんじゃないのか?」
「…京の気持ちは解らない。
終わりにしようと言った時、アイツは何も言わなかった」
「言えなかったんじゃないのか…突然過ぎたのもある。それに、自分に否があると思ったんじゃないのか?
お前の言う、最初の始まり方を気にしてだ。自分が甘えたからって。
だから、落ち着いて考えても、言って来れなかったんじゃないのか?」