〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。

「あっ」

「おっ」

まただ。エレベーターで会ってしまった。
こうなると引き寄せていたのは私?かしら。

「京ちゃん、少し話さない?」

「あ、でも、今は」

「勿論、今じゃなくていいから。アヤとしての方がいい?それとも、素の康介?」

「アヤさんは夜だけですよね?」

「うん、昼間はNG。康介だとまずい?」

「康介さんはもろ康介さんだから。課長が…その」

「ヤキモチ?」

「はい。多分。気にすると思います」

「難しいか…。じゃあ、俺が直接、拓に言うよ。京ちゃん貸してって」

ゔ、その言い方は…。

「大丈夫。ああいうタイプの男は、そう言った方が何も気にしないから。正面きっての方がいいんだよ」

チン。

「あ、じゃあ、近いうち。また会おう。あー、連絡先…」

「あ、ではこれを」

仕事の名刺。携帯番号も書いてある。

「大丈夫?仕事でもないのに俺に渡して。勤務先もバレちゃったよ?」

「大丈夫。康介さんだから」

その大丈夫、どこから来るんだろう。俺の事知りもしないのに。
陽人の友達だから、それだけだよな。

トン。

「あの、え、康介さん?」

「…密室だよ?俺にキスされたらどうする?」

顔が、ち、近い。
唇の先で唇が動いている。息がかかるほど近い。これは触れてもおかしくない距離。

「フ。まあ、しないけどね、今は。じゃあな」
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