〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。
友達とも違う。
同い年の知り合い。
そんな相手とまったりとした時間を過ごしている。
康介さん。いつまで経っても特に話を切り出す素振りも無いように見える。
ケーキにフォークを下ろしながら呟いた。
「私、ここに来る前、間違って陽人の部屋に行っちゃった…」
「え゙?」
殊の外大きな返しにこっちが驚いた。
そうだよね。陽人の部屋に行ったなんて言ったらそりゃ驚くよね。
「全然気がつかなくて。一度インターホン押して、康介さん出ないなと思ってもう一度押して…寝てるのかなぁとか思って、やっとハッとしたの。
無意識に、体が覚えていたみたい。
ここに来たら自然に陽人の部屋に行くようにインプットされちゃってたんだと思う。
何年も通った訳でも無いのに。おかしいよね」
陽人は、出なかった訳だな…。
「居ないから出ないのが当たり前なんだけど。恥ずかしくて…慌てて下りて来ちゃった」
アイツ、驚いただろう。玄関で息を殺したか。
居るんだからさぞかし驚いたよな。
俺とこうして一緒に居る事、…堪らなく思っているだろう。
「…慌てん坊だな。そんなうっかりした事しょっちゅうなんだろ」
「フフフ。うん、しょっちゅう。忘れ物もするし、見てるのに取り忘れるの」
「居る居る、そんなやつ。大騒ぎするよな」
「私は騒いだりはしません。…恥ずかしいから、こっそり一人で納得してる。
…またやってしまったって」