〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。


「そろそろ下に移動するか」

時間は6時半。

「康介、どうする。...着替えるのか?」

敢えて聞いてみた。

「嫌、このままで居る。
今夜は仕事の日じゃないし、わざわざ女装したら不自然だよ」

「そ、そうか」

素のままか。


ピンポン。

「はい」

「え〜山下さんのお宅で間違いございませんか?」

「あ、貴方は」

「はい、今晩は。
大将から配達を任されました。
宜しいですか?運び込んでも」

「はい、お願いします。あ、何か手伝う事は」

「いえ、この発泡スチロールの箱の中を出してしまえば済みますから、少し中までお邪魔して宜しいでしょうか?」

「康介?手伝おうか?お...凄いな」

「じゃあ、テーブルの上にお願いします」

「解りました」

バケツリレーのように空になった発泡スチロールを渡していく。


温かい料理がテーブル一杯並んだ。

「有難うございました。
また、お店の方にも寄らせて頂きます」

「あ、嫌、こちらこそ。また寄らせて頂きます。
...大将も連れて行きますんで。
そちらの男前さんも是非、康介さんとうちの店の方にいらしてみてください。
和食屋をしています。サービスさせて頂きます。

では、有難うございました。失礼します」

台車に空いた発泡スチロールの容器をのせ、帰っていった。

京、目茶苦茶豪華じゃないか。

< 157 / 175 >

この作品をシェア

pagetop