〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。
「そろそろ下に移動するか」
時間は6時半。
「康介、どうする。...着替えるのか?」
敢えて聞いてみた。
「嫌、このままで居る。
今夜は仕事の日じゃないし、わざわざ女装したら不自然だよ」
「そ、そうか」
素のままか。
ピンポン。
「はい」
「え〜山下さんのお宅で間違いございませんか?」
「あ、貴方は」
「はい、今晩は。
大将から配達を任されました。
宜しいですか?運び込んでも」
「はい、お願いします。あ、何か手伝う事は」
「いえ、この発泡スチロールの箱の中を出してしまえば済みますから、少し中までお邪魔して宜しいでしょうか?」
「康介?手伝おうか?お...凄いな」
「じゃあ、テーブルの上にお願いします」
「解りました」
バケツリレーのように空になった発泡スチロールを渡していく。
温かい料理がテーブル一杯並んだ。
「有難うございました。
また、お店の方にも寄らせて頂きます」
「あ、嫌、こちらこそ。また寄らせて頂きます。
...大将も連れて行きますんで。
そちらの男前さんも是非、康介さんとうちの店の方にいらしてみてください。
和食屋をしています。サービスさせて頂きます。
では、有難うございました。失礼します」
台車に空いた発泡スチロールの容器をのせ、帰っていった。
京、目茶苦茶豪華じゃないか。