〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。

・課長の憂鬱Ⅱ


「京、ここに座れ。確認する。京は大人だよな?」

「はい」

悪戯が見つかった子供が叱られると解った時の神妙な顔。それと同じだ。...自覚はあるんだな。

「何か...俺の知らない事があるのかな?
日曜の夜は楽しかったか?」

「とても楽しかったです」

...なんだ...京。その拗ねた態度は。

「そうか、それは良かったな。
それから...。
月曜の朝は早いモーニングにでも行ってたのか?」

「コーヒーは飲みました」

ねちっこい聞き方に逆切れか?

「京。俺はな、お礼を言われたんだ、大将に。
わざわざ向こうから電話をくれたんだ。
料理を頼みたいけどお願いもあると、来店してくれて、彼女と打ち合わせをした、ってね。
なんだか内緒みたいな感じだったから、てっきり俺に関する事でサプライズかなんかだろうと思った、って。
当日電話してもなんだから、明けたら大丈夫だろうと言って、それでお礼の電話だ。
俺はなんと言えば良かったか教えてくれ。
有難うお世話かけました、で良かったよな。なあ、京」

はぁ。こんな事、言わなきゃいけなくなった自分が嫌で堪らない。
京から話して来るのをジッと待っていたら良かったか?

「…日曜は陽人の誕生日でした。
あの日から、一度も会ってません。連絡もしていませんでした。
ただ、お祝いをしたかっただけです。元気で居るのかどうか、気になったから。
だから、急だったけど、料理を頼んで、配達もお願いしました。
ケーキも買いました。
それを持って、康介さんの部屋に行きました。
お祝いは三人でしました。
陽人は自分の部屋に帰って、私は康介さんの部屋に泊まりました。
朝、コーヒーを頂きました。
それから、家の近く迄送ってくれました。
これが全てです」
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