〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。
淡々と...。
こんなのはまるで、上司に進捗状況を報告しているのと変わらない気がした。
よくこんなに感情を殺して言えたな。
「楽しかった事に水を差すなと思っているか?」
...。
「だんまりは無しだ。思っている事を言って欲しい」
「課長が居ない事をいい事に、みたいにしたつもりはありません。
思いついたタイミングの結果が、課長が留守の日だったという事です。言おうとして言えませんでした」
「事後報告するつもりはあったのか?」
言おうとして、言えない。自分の中に駄目だという意識があったと言う事だ。
俺の口調も段々と課長寄りになって来ている気がした。
「ありました」
「京...甘えているのか?
俺がどれだけ心配になったか解るか?
わざとか?ちょっとした意地悪、悪戯のつもりか?」
「どれでもありません」
「...もういい。解った」
自分の身の心配もせず、昔の男と、自分に気のある男と一緒だったという訳だ。
行った理由も気持ちも聞いた。これ以上聞く事は無い。
「世の中には、お節介は居るもんなんだ。
知らなくても良かった事を教えてくれるヤツが居る。
月曜の朝の事はそのお節介なヤツが言ってきた。
いい男と朝から一緒に歩いているところ見た、ってね。
妙な噂をたてられたく無ければ、もう少し自覚する事だ」
「妙な噂...自覚ってなんですか?
これ以上は無いって事、相手に解って欲しくてした事です。
危険だったかも知れない事をした事は謝ります。
でも、私がした事です。
昔付き合っていた人だからと言っても、今は、違います。
元気かどうか、心配する事もダメな事ですか?
噂はあくまで噂ですよね?
どんな噂も本質から外れているなら...勝手に言わせておけばいい事です」