〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。


言葉で語らなくても身体は正直だという事だ。
嘘はつけない。
心ここにあらずで抱き合っては、ばれてしまう。
特に女は情の無い関係なんて無理なはず。
だからと言って演じる事なんて出来ないだろう。

俺に対して心があるかどうか、…抱き合ってみれば解ると思った。
それより何より、嫌いな奴とキスは出来ないだろうと思った。

いきなりだったから驚いていた。苦しいから暴れようとした。
顔を見た。
あの目に嘘は無いと思った。
恥ずかしい素振りはあっても、逸らす事なく見つめ返してきた。

しかも、…もっと欲しくなるような潤んだ目をしていた。そのまま押し倒したいくらいだった。

何かあれば、京は言ってくる。
疑うのは馬鹿げた行為だ。
隠せる女では無いと思う。
今夜、俺が何か考えていた事が京に伝わっていたかは不明だけど。

…鈍くていい時はその方がいい。余計な詮索は不要だ。
京を不安にさせてはいけない。
話さないといけないな。

「ご飯少なめで頼むよ」

「解った」

「後で京を食べないといけないから」

「…」

「そこは、解った、だろ?」

「…解りませんよーだ」
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