〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。

うっそ…あんな綺麗な人が、男?
そういえば声、ちょっとハスキーだったな。
スレンダーでハッキリした顔だった。背も高かったけど。

「まだ女だと思ってるか?
女だとしたら、もう10年の関係だ。どうだ?」

…どうだ、って。関係って…何。どんな…。
女だっていうならそんな関係?それとも…男と男の関係があるの?
返事のしようがない。

「スカート捲って見せてやろうか?
アイツ、いや〜んて言うかも知れないけど、ツイてるモノ、ツイてるし。
あ、女装の時はアヤだってさ。
どうする?会ってみたいならいつでも会えるぞ?」

「いい。別に疑ってないから」

「本当か?」

「本当」

「…だったら何を思ってる」

「え」

「今夜は情熱が薄かったからな」

「えっ、そ、そんな事…」

「何も無いとは言わせない。
まあ、さ、康介の事もあっただろうけど、それだけじゃ無いよな」

康介さんの事は、本当に部屋を間違えた綺麗な女の人だと思っていただけだった。

「…うん。元々話があったから連絡した。
だけど、今日は話すの止めようと思ったの」

「その事で来たいって言ったんだろ?」

何か無ければ自分から伺いをたてたりしない。

「そうだけど…。
嬉しかったから、今日は話すタイミングじゃないと思ったの。
陽人に鍵をもらった日だし。
携帯でやり取りしてくれた日だったし。
色々嬉しい日だったから、止めようと思ったの」

いい話では無いという事だな。

「聞くよ」

「でも…」

「もう、話さないままでは終われないだろ?」

「…うん。じゃあ…話す。
あのね、会社の人に好きだったって言われた」
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