〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。
「同期か?」
「ううん、上司。課長」
「若いのか?」
「三つ年上」
「31か…」
「うん」
「それで?好きだったってだけか?」
どの事だろう。
「あれこれ何を話そうか考えてるくらいなら全部話せよ?」
うっ。陽人は話さなくても知ってるみたいに聞くんだから。怖いよ…。
「告白はされたけど、別に返事は求められなかった」
「それで、京はどう思ったんだ?…正直に。思い出して、言ってみて」
「嬉しかった。告白自体は嬉しいモノだと思った」
「うん。それから?」
「なんで陽人と付き合ってるって知ってから言うんだろうって思った」
「俺と付き合ってる事、知ってるんだ」
「うん、知ってる。この前だって早く帰れって言ってくれた」
…。
「付き合ってみたら?」
「え?」
な、に、言ってるの?…。
「初めて告白されて嬉しかったんだろ?多少なりとも、ときめいたんだろ?」
「…」
「ずっと思われてたんだぞ?京が気が付かないだけで。…凄いと思わないか?思い続けてるなんて。
心の中に秘めてずーっと一人を思い続けてたんだぞ?
そんな思いの深い人だぞ?」
何を言わせたいの?何考えてるの?
「…なんで?…なんでそんな言い方するの?
陽人は…」
「自分の気持ちに正直になれって言ってるだけだ。
今、俺とこうして居るからって、俺を運命の男だとでも思っているのか?
京はそんな気持ちで俺に会いに来たのか?違うだろ?
ずっと独りだったからだろ?寂しかっただけだ。
誰からも付き合ってくれって言われないから。
だろ?
…俺が気心の知れた男だったからだ」
…。
「酷い。…酷いよ陽人…。私は、今だって、昔だって…。
陽人の馬鹿っ!」