あやめも知らず
私、元の世界に戻らなくてもいいと思ってる........。
翌日、王宮内を一通りシンさんに案内してもらった。
「そろそろ、アヤメにも専属の侍女をつけておこうか。」
そんな、大丈夫ですよ。一通りのこと自分で出来ますし。と言おうとした瞬間に理解した。
って、そっか。
シンさんも私に時間を割いていられないよね。
この王宮案内だって、本来シンさんがすることじゃない。
「......。」
「どうしたの。僕に構ってもらえなくて寂しい?」
「最近、冗談ばかり言いますね。」
むすっとした顔をわざとするとシンさんが笑う。