あなたの背中に恋してる~奥手な男子の攻略法~


取られている物が、お金や貴金属ではなかったから、一人でここにいるのは危険だと。
志賀くんが、遠まわしに言ってくれた。


「今日は、彼の家に泊めてもらいなさい」

煮え切らない私に、大家さんが志賀君の方を向いて言った。

「いえ、そんな…迷惑だし」
志賀君となんて、無理だろう?

絵梨のところに頼みに行こうか。
それは駄目。無理。

こんなこと頼んで、絵梨に迷惑がれれたらどうしよう。
せっかく出来た友達なのに。
急に泊めてほしいなんて言えない。

漫画喫茶や、それとも
一晩過ごせるところに行こうか。


志賀くんが、先に部屋の中に入って、
お風呂場や、トイレや、身を隠せそうな場所を確認してくれた。

もう一度様子を見て、玄関ところに立っていてくれる。


「何してるの。はやく荷物まとめて」

「ああ、うん」

「旅行鞄に取りあえず、2,3日分の着替えと必要なものだけ」


「うん」

「入れた?」

「えっと、あの…」

私は…気分が悪くなって、立っていられなくなってその場に崩れ落ちた。

クローゼットの箪笥の一番上の中身は、外にぶちまけられ下着が、何かで切られていた。


「これじゃ使えない」
単なる下着泥棒じゃないんだ。やっと分かった。


「途中でなんか買えばいい」
志賀君が腕を引っ張った。


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