あなたの背中に恋してる~奥手な男子の攻略法~

「すぐにできることだけして」
志賀くんに言われたとおりに動いた。

取りあえずどこか行き先ある?
作業が終わって志賀くんが聞いて来た。

絵梨んとこか、漫画喫茶でもっていったら、
志賀君。しばらく考え込んだ。


「絵梨んとこには、いくつもりないんだろ?
じゃ、取りあえず家に来るか?」

「えっと、あの…」

「大丈夫だよ、両親海外だし。
弟は地方の大学で、一人暮らしだから」

「志賀君一人暮らしなの?」

「そうだよ」
それ、大丈夫っていうの?

でも、この状況だから、厚意で言ってくれてるか…
「あの…迷惑かけてごめんなさい」

「別に。いいよ。
そんなこと気にしなくて」


「でも、ちょっと待って。やっぱり、
そんなわけに行かないよ。
志賀くんには、こんなことまで
してもらう理由ないし…」
急に、志賀くんと2人きりだって思い出して、慌てて否定する。

「じゃ、どうするの?ここに居るの?
あんまり勧めないよ。
犯人、ここに戻ってきたらどうするの?
冷静に考えろよ」

志賀くんが、立ち止まって私に聞いた。

冷静に考えろって言ったって、
「ごめん、志賀くん…私、今足が震えて立てなくて…」


「仕方ないな…乗れよ」

志賀くんは、私の前にしゃがんで背中を向けた。

「早くしろ」
何?それ、おんぶするって言ってるの?
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