あなたの背中に恋してる~奥手な男子の攻略法~


アパートから、タクシーが拾えそうな、大きな通りに出る。
そこまで歩けば…ダメ。
足が自分のものじゃないみたいにふらふらしてる。

人通りも少ない夜道だとはいえ、おんぶしてもらうのは、恥ずかしい。

それに…意外と重いなって、あの毒舌で言われたらどうしよう…


「えっと…あの」

「早くしろ」

「うん」

「鞄、ちゃんと持ってろよ」

「はい」

広い背中…彼の首に腕を巻き付け、鞄を抱えた。

体がフワッと浮く。
力強い腕が私の足を支えてる。

遠慮がちに体がぴったりくっつかないようにしてたら、後ろにぐらんと揺れた。

「ちゃんとつかまって」

「いいのかな…」

「当たり前だ」

志賀くんの背中…心地いい。
広くて温かくて…ずっとこうしてたい。
私は、少しずつ体を近づける。
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