可愛い弟の為に
「おはようございます」

約束の時間より1時間前に僕は高石本家にやって来た。

もちろん、桃ちゃんも連れて。

「おはよう、至、桃子さん」

武伯父さんが直々に出迎えてくれた。

もう父さん達4兄弟は揃っているらしい。

やはり歳だな。
朝早くに起きてやる事がないから集まったのだろう。

「おはようございます」

宴で使用される和室は完璧にセッティングされている。

広い部屋に和テーブルが奥と両サイドに並んであった。

「おはよう」

それぞれの口から聞こえた。

僕は父さんの隣に座った。
桃ちゃんも僕の隣へ。



「透が結婚とは。少し残念かも」

慶叔父さんは言う。
自分の娘を貰って欲しかったのだろうけど。

「何、娘の相手ならいくらでも上玉はいるさ」

とは宏伯父さん。

ほう…、透はそれ以下という事か。
自分の息子達よりは上だと思うけどね。

やがて、玄関で何やら話声が聞こえたので僕が行くと、透とハルちゃんが琥珀と話していた。

透は僕の姿を確認しておはよう、と挨拶をする。
ハルちゃんも頭を下げて挨拶をしてきた。

「おはよう、ほぼ全員そろってるぞ」

その言葉に明らかに嫌な顔をする透。

「…まだ約束の時間の30分前なのに?」

「まあ、皆、年寄りだからな。仕方がない」

イトコはまだだけどな。

「はあ、顔合わせたくない」

そんな事を言うと、隣のハルちゃんは不安そうだぞ。



透とハルちゃんは玄関奥へと入った。
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