可愛い弟の為に
翌日、午前の外来が終わって珍しく透を見かけた。
「透、今から休憩?」
声をかけると透は頷き、
「うん、少しだけ」
「僕も今から休憩。一緒にどう?」
素直に透は付いてきた。
ほほう、珍しいこともあるもんだ。
職員食堂は人もまばらだった。
透が注文した品を見て早く結婚したほうがいいと思う。
ご飯は一般女性が食べる量の半分もない。
何もかかっていない冷奴。
グリーンサラダ、ドレッシングなし。
「あまり食べたくない」
あなたの虚ろな目を見ていると明らかに寝不足だと思いますよ、私は。
一方、僕のお弁当を見た透は
「…桃子さんは相変わらず兄さん想いだね」
と微笑んでいる。
「まあね〜」
桃ちゃんは結婚してからずっと毎日、お弁当を作ってくれている。
見た目は童顔だし、女子高校生か!というくらい賑やかなノリだし。
でも、生活を支えてくれている。
「桃ちゃんが二人に会いたいと言ってたよ」
報告したら、お祭り状態だった。
透におめでとうの電話をすると言ってうるさかったが、迷惑だと言って何とか止めた。
「…うん、そのうち」
あれ、また沈んだ。
何か病んでいるのか?
「どうした?」
兄として、本当に心配になってきた。
「…うん。本当に僕がハルを幸せに出来るか、不安になってきた。考えれば考えるほど、頭が混乱してきて」
それは本気で考えているという証拠だな。
「僕、ほとんど家に帰らないし。
休みも休みじゃない日が多いし。
もし子供が産まれても、常に父親不在。ハルに負担ばかり掛けそう。
ハルは我慢するタイプだから抱え込みそうだし」
ほほ~!!
透がこんなことを考えているなんて新たな発見だ。
「それでも、ハルには一緒にいて貰いたいんだ。
ハルがいてくれるだけで僕は辛い事も乗り切れる」
透さん、素晴らしい恋ですよ、それ。
しかもこんな風に胸の内を打ち明けてくれるとは。
良かった、少しは頼られているみたいだな。
「もう、一緒に住んだら?
二人とも若くないんだし。
透の気持ちをもう一度、ハッキリハルちゃんに伝えてさ。
曖昧な言い回しではなくて、今すぐにでも結婚してってはっきり言ったら?」
多分、断ることはないはず。
「僕とハルだけならすぐにでもそうするよ…ただ…」
透の歯切れが悪い。
「父さんや母さん?」
それしかないだろう。
透は頷く。
「一応、親には気を使ってるんだ」
透の事だからもっと強引に行くと思っていたのに。
その辺りは年齢的にも考えるようになったか。
「まあ…」
本当に歯切れ悪いなあ。
「知らせず入籍するのも手かも」
僕は本気で言った。
婚姻届の証人欄なら僕と桃ちゃんで書いてやる。
「そんなの、ハルが可哀想だ。堂々と結婚したい」
へえ~!!透、中々面白いことを言うね。
「じゃあ一度、実家に行って話すれば?
父さんと母さんと」
「…行きたくない」
「それじゃ話が進まないよ」
話が堂々巡りになりかけたその時。
「…子供が出来たら許してくれるかなあ」
「透、今から休憩?」
声をかけると透は頷き、
「うん、少しだけ」
「僕も今から休憩。一緒にどう?」
素直に透は付いてきた。
ほほう、珍しいこともあるもんだ。
職員食堂は人もまばらだった。
透が注文した品を見て早く結婚したほうがいいと思う。
ご飯は一般女性が食べる量の半分もない。
何もかかっていない冷奴。
グリーンサラダ、ドレッシングなし。
「あまり食べたくない」
あなたの虚ろな目を見ていると明らかに寝不足だと思いますよ、私は。
一方、僕のお弁当を見た透は
「…桃子さんは相変わらず兄さん想いだね」
と微笑んでいる。
「まあね〜」
桃ちゃんは結婚してからずっと毎日、お弁当を作ってくれている。
見た目は童顔だし、女子高校生か!というくらい賑やかなノリだし。
でも、生活を支えてくれている。
「桃ちゃんが二人に会いたいと言ってたよ」
報告したら、お祭り状態だった。
透におめでとうの電話をすると言ってうるさかったが、迷惑だと言って何とか止めた。
「…うん、そのうち」
あれ、また沈んだ。
何か病んでいるのか?
「どうした?」
兄として、本当に心配になってきた。
「…うん。本当に僕がハルを幸せに出来るか、不安になってきた。考えれば考えるほど、頭が混乱してきて」
それは本気で考えているという証拠だな。
「僕、ほとんど家に帰らないし。
休みも休みじゃない日が多いし。
もし子供が産まれても、常に父親不在。ハルに負担ばかり掛けそう。
ハルは我慢するタイプだから抱え込みそうだし」
ほほ~!!
透がこんなことを考えているなんて新たな発見だ。
「それでも、ハルには一緒にいて貰いたいんだ。
ハルがいてくれるだけで僕は辛い事も乗り切れる」
透さん、素晴らしい恋ですよ、それ。
しかもこんな風に胸の内を打ち明けてくれるとは。
良かった、少しは頼られているみたいだな。
「もう、一緒に住んだら?
二人とも若くないんだし。
透の気持ちをもう一度、ハッキリハルちゃんに伝えてさ。
曖昧な言い回しではなくて、今すぐにでも結婚してってはっきり言ったら?」
多分、断ることはないはず。
「僕とハルだけならすぐにでもそうするよ…ただ…」
透の歯切れが悪い。
「父さんや母さん?」
それしかないだろう。
透は頷く。
「一応、親には気を使ってるんだ」
透の事だからもっと強引に行くと思っていたのに。
その辺りは年齢的にも考えるようになったか。
「まあ…」
本当に歯切れ悪いなあ。
「知らせず入籍するのも手かも」
僕は本気で言った。
婚姻届の証人欄なら僕と桃ちゃんで書いてやる。
「そんなの、ハルが可哀想だ。堂々と結婚したい」
へえ~!!透、中々面白いことを言うね。
「じゃあ一度、実家に行って話すれば?
父さんと母さんと」
「…行きたくない」
「それじゃ話が進まないよ」
話が堂々巡りになりかけたその時。
「…子供が出来たら許してくれるかなあ」