BLUE SUMMER




この小川はよくおばあちゃんと来ていた場所だ。


私は悲しいことがあったら、決まってここに来ていた。



透明な澄んだ水で顔を洗って、水を鏡として自分を映す。



すると、自分の醜さが少し緩和された気がして、楽だったんだ。



丁度この時期、春と夏の間の時期。


ほたるがこの小川にいっぱい集まる。



私はそれを見るのもすごく好きで、よく夜遅くまでそこでじっと座っていた。



『羽海。はい。』


そんな時、おばあちゃんが私を迎えにきて、私の手をとって毎回くれたものがある。


ドロップ。


私はブルーハワイ味が好きで、いつもメロンとかオレンジとかを残して。


それを消費するのはおばあちゃんの役目。


川におばあちゃんが私を迎えに来る時は決まってブルーハワイのドロップを私にくれた。




『ここはね、おばあちゃんも子供の頃大好きでよく来てたんだよ。ここのほたるは心の優しい人の周りに集まってくるって昔からよく言われてるんだ。ほら、羽海の周りにいっぱいくるよ。』


そして、これもここに来る度におばあちゃんが言っていた言葉。


私はその言葉は本当だといつも思っていた。



だって、1人のときは全然寄ってこないけど、おばあちゃんが来るといっつも集まってくるから。



それで、私はおばあちゃんといると優しくなれるんだって、気づくことができたんだ。




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