君が好きになるまで、好きでいていいですか?
「………………どうしよう」
書類を届けなきゃいけないのは確かなんだけど、ズケズケと家まで来てしまっていいのかなぁ
一応メールはしてみたけど返信はない。
寝てるんだろうか
マンションの部屋の前まで来たものの
何となくウロウロとしている万由
今日一日で熱、下がったかなぁ……
コンビニでスポーツ飲料やプリンや買ってきて
後はチャイムを押すこの指を少しだけ前に進ませるだけ…………
「エエイッ!!」
チャイムを鳴らしたと共に、中からパタパタと玄関に近づくスリッパの音がする
扉を開ける熱で辛そうな後藤の姿を想像していたのだけど…………
「はぁい」
女性らしい高く品の良さそうな声と共に、開けられた扉から顔を出したのは、知らない女性だった
「え」っと一瞬に固まる万由
「……………」
「………誰?」
扉の前で固まったままの万由に、怪しげに眉間を歪ませる女性
見た目万由より年上の綺麗な人。
長くゆるいウェーブのかかった髪を後ろで1つに束ねて
Tシャツにジーパンと平日なのに、明らかに会社帰りではないラフな格好
エプロンでもしてたらもう奥さんって感じだよ