君が好きになるまで、好きでいていいですか?

「へぇ~、じゃあ今頃一緒に食事して、お酒でも飲んでそのまま後藤さんのうちに行ってたりして」


「……………っ」

意地悪くそう言う歩美に、情けない顔を見せる万由


「……………もう、そっちに行っちゃったって事かなぁ」

屋上で言われた様に、本当は山吹さんとずっと関係があるまま、ただのつまみ食い程度の付き合いだったのかもしれないと、項垂れる


泣きそうな顔をしている万由に、高石が思わず口を出そうとするが、それを歩美に止められ、
歩美は自分用に頼んだカシスソーダを万由の目の前に差し出した

 
「人の事ばかり気を回してるからでしょう
もっと自分のしなきゃいけない事に集中しなさい」


「自分の事って…………?」


肩を屈め首を傾げる万由に、呆れて頬杖しながら目を細める歩美

「万由はいったい後藤さんの事どう思って、どうなりたい訳? 元カレの事を言い訳するために話をするとかの前に、まずそれでしょ?」


「……………」


俯く万由に歩美が続ける

「相手の挙げ足とってる場合?
万由がちゃんと後藤さんに気持ち伝えてないから、そもそもこうなっちゃったんじゃないの? 違う?」


「…………違わない」


歩美が差し出したカシスソーダのグラスを両手で持って、それを口に運ぶ

「それともまだ、慧斗君を引きずってたりするの?」

ぶんぶんと頭を振る万由


「慧ちゃんより、今は…………後藤さんがいい」



お酒のせいなのか、それとも言ってる事が照れくさいのか、可愛くその顔を真っ赤にさせる万由に、高石も思わずキュンとなった

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