君が好きになるまで、好きでいていいですか?
「もったいない。あの後藤さんのプライベート情報名刺だよぉ?」
心底溜め息をつく歩美さん
「何言ってるんですか? 普通に、当然の行動ですよ。」
「何いってんの? コピーだって一枚一万円はくだらなかったのに…………」
「……………間違いなく犯罪ですよそれ、確実に捕まります歩美さん」
「ははっ、冗談よ」
真面目な顔して言うから怖いわ、歩美さん
「やっぱり後藤さんはダメだったのねぇ。告白された時は、これで万由の片想いにピリオドつけられるってちょっと期待したんだけどねぇ」
なにを根拠に…………
「大体、ずっと想い続けるってすごいよね。今まで他に好きな人できなかったの?」
「…………」
「有るの?」
有るというか、何度も諦めようと思った事はあるけど。
慧ちゃんは、中学生のころからそれなりにモテてたし、ずっと私は2歳年下の幼馴染みだったから………
向こうは頭も良くて、高校は進学校で、私も同じ高校に行きたかったんだけど、でも家庭教師をしてくれた慧ちゃんの進めで近くの女子高に通っていた
「女子高?それじゃあ出会いないじゃない」
「それでも電車通学だったから一度声掛けられて、駅から家に送ってくれた他校の男の子がいたんだけど………」
「付き合わなかったの?」
実はその頃慧ちゃんの家がゴタついていて、うちにほぼ入り浸っていたんだよねぇ
送ってもらって3回目くらいの時に家の前で慧ちゃんと鉢合わせしちゃって…………
遅い時間だったから怒られて…………
それ以来何故か会わなくなっちゃったんだよねぇ、電車でもその男の子に
「……………それだけ?万由大学も行ってたじゃない。」
「エスカレート制の女子大だったし、その頃はずっと毎週金曜日慧ちゃんと会ってたから、飲み会にも行かなかったし。」