君が好きになるまで、好きでいていいですか?
洗面所の方から、電話をする慧ちゃんの少し荒げた声がする
電話を終えた彼が、やっぱりちょっと眉間に皺を寄せている
「万由………ごめん。会社の奴が飲み潰れて帰れないからここに連れて来るって………」
「えっ?! じゃあ………」
ご飯の途中なのに……っていうか、今日は平日だけど泊まっていくつもりだったのに
「ここ、会社の近くだから………万由食べたら送ってくから」
「うん」
簡単に片付けをして、残った物をラップして冷蔵庫に入れておいた
「ごめん」
駅までの道でまた慧斗が申し訳なさそうに項垂れる
「ううんっ、冷蔵庫にあるもの明日食べてね。また来ていい?」
「仕事から帰って、万由が家に入ると嬉しいよ。いつでも来て。」
「ふふっ、よかった。でも、一応電話するね。」
手を繋いで、そんな話をしながら歩くだけで幸せ。
少しずつ、慧ちゃんの家に私の物を増やしていけば大丈夫。
だから、私の寝具セットをおいてきた。
できればどこか空いてる棚の中に入れ込みたかったけど………勝手に開ける勇気がなかった
駅に着いて、別れる前に軽くキスをしてきた
「ひっ人がいるのにっ………慧ちゃん」
「万由、今度また金曜日はちゃんと時間開けるから泊まれる?」
優しく笑顔でそう言う慧斗に思わず身体の熱が上昇する
「………うん、私は全然大丈夫」
もうっ、まともに顔が見れないじゃん