君が好きになるまで、好きでいていいですか?
「沢村さん………?」
1台の車が万由の近くの路肩に停まって、運転席から出てきたのはあの後藤だった
「…………」
「なにやってるの? こんなところで……」
車のハザードランプをつけて停めてある助手席のドアを開けた
「送るよ。乗って………」
言葉を出さずに首を振る万由
「暗いし、女の子一人でなにやってるの?彼氏は?びしょ濡れだし、風邪引くだろ」
少々口調が強くなっていた
「…………結構です」
それでも、顔を叛けてお断りする
寒いけど………
どうせ、迷惑だと思うだけでしょ。昨日だって思いっきり無視したくせに
万由の態度に後藤も大きな溜め息をつく
「だったら行くけど………でもこの辺お化けよりもっと怖くて気持ち悪い変質者が出るから、気をつけて。
特に駅にまでの道に一人二人待ち構えてるから」
「えっ…………」
お化けより怖い変質者………?
「確かだよ。ここまで来るまでに見たからね。まず出会うだろうね。確実に襲われるけど怖くないの?」
「……………乗ります」
仕方無く濡れ服を気にしながら助手席に座った。
「駅まででいいです」
「その格好で、電車乗れないでしょ」
「…………」
仕方無く一人暮らしのマンションの場所を伝えた
「今日は研究所の方に行ってたんだ、遅くなること分かってたから自分の車でね。だから今帰りだけど、沢村さんは?」
「……………」
黙ったまま、顔を窓の外に向けている万由
「何かあっても、教えてくれるはずないかな」
車を運転しながらそう言う後藤
「………課長と関わると、ロクなことありませんから」